他人事

何年か前から

映画や小説に出てくる暴力や不幸の描写に耐えられないことが増えた。

例えば人が銃で撃たれたり、重い病気になったりという描写。

リアルな社会派モノはもちろんのこと、

ある意味お気楽に楽しめるはずの

ハリウッドのアクション映画とかでも辛いときがある。

 

さらに厄介なのが、ニュースなどの報道だ。

こっちは実際に起こってることだから余計に辛い。

殺人事件とかはもちろんだが、

芸能人の不倫とかでも家族の辛さを思うと

「世の中ってなんでこんなに生きづらいんだろう?もう少しのんびりさせてくれ」

と思う。

 

こういうことを書くと、

「何をそんな、当たり前のこと」と思う人もいるかもしれない。

でも自分は若い頃は自分に起こっていることと、

映画やニュースで見ることを切り離して捉えていたように思う。

だからこそ、

若い頃の方が耐性があったというか、

他人事を他人事で終わらせることができた。

ニュースで事故や事件があっても、自分の身に降りかかることは

まず無いだろう、、、と思うことができた。

 

それはノー天気かもしれないが、

精神衛生上はそれくらいがちょうど良い面もある。

 

もちろん、今も基本は「そうそう自分には起きない」と

そう思ってはいるが、やけに不安になる。

きっと社会に、世の中に、期待や希望をさほど持てなくなったからだろう。

それは加齢のせいなのか、物事がわかってきたからなのかはわからない。

 

流石に、

事件に巻き込まれた知り合いは居ないが、

病気になったり、命を落としたりという人が同世代にいる。

 

今思えば

若い頃は、人生は右肩上がりと思っていた。

後半の方が楽しいのでは?と。

若い頃は貧乏だったし忙しかったから、

いつか余裕と時間ができるはず、と努力してきたつもりだった。

でも、そんなに世の中は甘くない。

お金は貯めても子供と家のローンで消える。

自分の親父より稼げる身分になったと喜んでいたが、

会社の将来も心配だし、安心は全くできない。

(そのせいか車も親父の乗ってた車より安い80万の中古車だ。)

日本の国力低下も影響しているかもしれないが、

なんとも面白みがない。

 

もう2年くらい前から

何を楽しみに生きているのかわからないと感じる瞬間がふえた。